ライフスタイル転換のための仕掛け=プロジェクト
脱炭素に貢献するけど、脱炭素だけではない。
プロジェクトを通じて、
楽しい、かっこいい、ワクワクする魅力的な「変化」が起こっています。
今回は、「レスキュー野菜の地域での販売プロジェクト」を始めた、株式会社マガザン 代表取締役 岩崎 達也さん(以下、岩崎さん)とプロジェクトコーディネーター兼アドバイザーの有限会社ひのでやエコライフ研究所 大関 はるか さん(以下、大関さん)に、プロジェクトに対する想いについてお話を伺いました。
「レスキュー野菜の地域での販売プロジェクト」の取組内容はこちら(https://doyoukyoto2050.city.kyoto.lg.jp/projects/vegetable-store/)をご覧ください!
― 京創ミーティングに参加された動機は。
岩崎さん: 環境に関する事業を今よりもまださらに小さい段階で始めていたので、このテーマでの人のつながりや、実践されている方からのノウハウが得られるのでは?と思っていました。一方で、初めてのプロジェクトなので心配もありましたが、京都市に誘われるときの熱意が決め手だったような気がしますね。これまで様々な会議に参加してきましたが、あれだけ熱意を持ってくださるなら、ぜひという気持ちになったのをよく覚えています。
― ありがとうございます。逆に心配だったことは。
岩崎さん: すごく時間を取られたらしんどいとかそんな感じですかね。僕たちは民間のせかせかと働いている会社なので。
― 先ほどの話にもありましたが、岩崎さんはもともとどのような環境の取組をされていたんですか。
岩崎さん: ちょうどその頃に安居さん(Circular Initiatives&Partners 代表)とも出会っていて、CORNER MIXの構想があったり、一緒に動いていた副産物産展のプロジェクトの話や軒下青果店のアイデアも出始めていました。
― ちょうど岩崎さんがやろうと思っていたことと京創ミーティングの取組のタイミングが合ったということですね。
岩崎さん: そうですね。
― 軒下青果店は、西喜商店が主体でやられているのでしょうか。
岩崎さん: そうですね。ただ企画を持ち込んだのはこちらですね。マガザンキョウトの店の前は、夕方になるとおばあちゃんたちがてくてくスーパーに行くんです。で、ある時、店前に野菜置いたらいいのではと思ったんです。それで、西喜商店が余った野菜の色々なプロジェクトをやっていることは知っていたので、企画に至りました。ほかにもマガザンキョウトの店先のような相性がいい場所があるだろうなとも思っていました。一つの会社では、どうしてもできることは小さくなりますが、多くの方とのつながりで、取組が広がったと感じています。
― なるほど。軒下青果店のような取組をここだけでなく、他にも広げていけるんじゃないかと思って企画したということですね。

(写真:中書町青果店の様子)
― 京創ミーティングに参加する際、特に連携したかったところは。
岩崎さん: 公民連携じゃないですけど、京都市と何か一緒にできることはないかなとか、どういうことができるかなという期待は思っていました。
まあ正直に言うと、補助金どんなものが出るかなとかが気になっていたのが本音ですね。
補助金はないより全然ありがたいって感じですね(笑)。それが何か決め手になるものではないですけれど。でも結果でいうと、それよりも京都市公式ホームページ(2050MAGAZINE)の制作に携われたことが大きいですね。あとは、やるかどうか悩んでいるプロジェクトや企画を「じゃあやろう」っていうぐらいに背中を押される感じは、補助金があるのとないのでは違いますね。
― 事務局からの支援によって何か変化はありましたか。幅広いステークホルダーがいらっしゃるかと思いますが、一番印象に残っていることがもしあれば。
岩崎さん: プロジェクトもそうですけど、やはり民間の会社として経営していく中で、社員の環境偏差値みたいなものが底上げされたのは間違いないですよね。あと印象に残っているのは、この話に直結するかわからないですけど、やはり2050MAGAZINEの立ち上げやその手前のカーボンニュートラルのビジョン策定がすごく印象深いですね。

(写真左:岩崎さん、右:大関さん)
― 従業員の実際のプライベートでの変化は何かありますか。
岩崎さん: そこまで聞けていませんが、「断熱」という言葉はやはりよく出ますよね。でもうちの若い子たちってやっぱり自分の暮らしを成立させるのに精一杯みたいな年代だと思うので、みんながみんなまだそこに行く余裕はないのかもしれないですね。
― 岩崎さん自身も何か変わったことありますか。
岩崎さん: プロジェクトを始めたことをきっかけに、まず当たり前のように再エネ電力を契約するようになりましたよね。日常生活でいくと、リユースできるゴミの分別度合いが上がった気がします。どうしてもリユースできるものを捨てることもあるんですけど、健やかな罪悪感が生まれるようになった気がします。(笑)
仕事の方も間違いなく、そういう文脈の案件が増えましたね。思い出した順に言うとKYOTOVEGANもそうですし、THE BLUE CAMP(海と食の未来を担う次世代のためのプロジェクト)とか。環境文脈といえば、マガザンができると認識され始めているのは感じます。

(写真:中書町青果店の様子)
― KYOTOVEGANのHPも改修されたんですよね。それもマガザンがHPを製作できるだけでなく、環境面もしっかりやってるところだからお願いしようという流れになったんでしょうか。
岩崎さん: まさにそうだと思います。京創ミーティングで玉木さんにも出会いましたし、お互い求めていたものに紐付けられたという感じがしますよね。
― まさに京創ミーティングの中の事業者同士の連携が実際に生まれているということですね。
岩崎さん: なのでインパクトマネジメントのこのやり方ってものすごく相性いいと思うんですけど、そういったところまで拾い上げられると、ものすごいインパクトを世に示せると思うんですよね。京創ミーティングの中で、ここで出会ってどういう仕事が生まれて、その仕事の成果がこうだってことは、インパクトに貢献できているということだと思うので。
― そうですね。ビジョンに何かしらの感じでつながっているんだろうなと思ってそれを見える化するべく、今インタビュー調査をさせてもらっています。
岩崎さん: 企画会社のポジションだとやっぱり自分たちで全部できるわけじゃないので、KYOTOVEGANができたことによって、KYOTOVEGANの事業側が成長していくことで間接成果になるんだとかっていう納得感もすごくあって、ただ、ここは社会に対して非常にわかりにくいだろうなというのは思いますね。
例えばCORNER MIXも何杯購入されたかっていう指標だけで見ると、すごく小さい影響だと思いますけど、イベントで認知してくれた人がどれだけ影響を受けたことをやっているかとか、そこまで把握できたら、一定成果が出たと言えると思いますね。ただ僕たちでは追い切れないっていうのは、インパクトマネジメントの観点でも思うことですね。
― なかなかそこまでの成果を追うのは、難しいですよね。
海外に比べて日本人は、脱炭素の取組に対してどこか我慢しないといけないと思ってしまう風潮がある中で、 MIX BIKEのように楽しみながらできるというのはすごくなじみやすいし、やりやすいと思うので、脱炭素というか環境を考える上で良いと思います。
岩崎さん: MIX BIKE自体は、僕らにとってすごいアイコンになってくれた感じがします。今四号機まであって、万博に一台か二台行く予定だったり、できるかわからないですけど、京都市につないでもらっている放置自転車を総アップサイクルして、安価に販売したり、レンタルしたりできないかというアイデアもあったり。

(写真:CORNER MIXの様子)
― 京創ミーティングで、京都市とつながったからこそ、新しいプロジェクトにつながっていったんですね。
岩崎さん: 京都市の伴走はめちゃくちゃありがたいです。
― CORNER MIXのミックスジュースは市民にも届いていると思いますが、お客さんの変化はありますか。
岩崎さん: まずはこういうプロジェクトをやっていることに対して、「はいはい。なるほど。」という人が増えた気がしますね。「そんな儲からへんことすんの!?」みたいなことは、あまり言われなくなりましたね。
大関さん:あと注文する時に、CORNER MIXのレスキューミックスジュースのストーリーを話せば、それに共感してくれて、「じゃあこれ!」というようになる人は増えている気はしますね。やはり自分のお金をつかって、その話題性に自分が関わりたいとか、少しでも環境に配慮した方向に自分が投票するような気持ちがあるとか、そういうことがCORNER MIXでは日常的に起きていると思います。
岩崎さん: あとは企業ではなかなかできない事業活動をしている環境枠として、大企業に呼ばれることが増えましたよね。野村不動産のお得意様の会みたいなものに呼ばれて、スターバックス・モスバーガー・CORNER MIXみたいな(笑)。良し悪しの基準が絶対に変わっているよなって思います。
― そういう背景のあるものを選ぶ市民も増えてきたし、企業の方からもそういう要請があるんですね。ミックスジュースはどのくらいイベント出店をされているんですか?
岩崎さん: 月2、3回は絶対行ってますね。レンタル費とか出張で飲んでいただく分とかを足して、それでやっと採算が合うんですよ。逆に店頭だけだと黒字ではないんですよね。あと東京への出店が一番多いですね。
― 外の人というか不動産とかもそうですけど、どういうつながりで声がかかったりするんでしょうか?
岩崎さん: 一つはSNSやメディア・テレビとかで見たっていうのなんですけど、もう一つの野村不動産さんとかは人のつながりでしたね。安居さんの友人が野村不動産の企画担当をされていて、企画の中で紹介してもらったという経緯でしたね。
― もともとひのでやとマガサンはつながっていたんですか。
岩崎さん&大関さん: いや、ないですね。京都市の会議室で初めて会いました。
― なるほど。お二人も京創ミーティングの取組の中で一緒になって、知り合ったんですね。
岩崎さん: こういうふうに何か活動してる人って出会いさえすれば勝手に何かやるんで、良いマッチングだったっていうのはあるんでしょうね。
大関さん: そうですね。なんとなく京都市が媒介していることによって、それなりに背景があってバックボーンがあるから京都市から声がかかっている人たちがこの場にいるんだろうと思うと、探り合いみたいものなしで、安心してマッチングができたと思います。直接の話ができるというか。

(写真:中書町青果店の様子)
― 今後、どんな事業者に京創プラットフォームを勧めていきたいと思いますか?
岩崎さん: まずは若い世代をもっと巻き込めたらいいなと思います。20代後半とか。若いデザイナーとか。若者で活躍し始めている事業者の方とかですかね。全然紹介できる人たちが思い浮かぶわけではないですけど。
― ぜひ公開されたら周知をご協力いただきたいと思います。そういう方が2050年のほんまの主役ですよね。
岩崎さん:卒業する人が出てもいいぐらいだと思いますね。重鎮が増えると動きにくいじゃないですか。
大関さん: あらゆる分野に関係するのが環境問題というか、2050年で全員が関係することなので、どの業種の人でも取り組んでもらわないと間に合わないと思います。いろんな人の知恵が結集されるといいなと思います。
京都でよくあるのは、同業種で横並び一直線みたいなのがあって、たとえば、ホテル・旅館業で「環境に配慮した〇〇をしましょう」の様なアイディアがあっても、「京都市内のホテル・旅館業みんながそういう基準になるならやってもいいけど、自分のところだけ先にやるのはちょっとやりにくい・・」みたいな。同業と足並みを揃える文化なんだと思います。それも、異業種と連携するみたいなプラットフォームがあると、飛び越えて実践しやすいこともあると思います。

(写真:岩崎さん)
― 最後にこれから京創プラットフォームに入ってくる企業さんに向けて何かアドバイスやお言葉はありますでしょうか。
岩崎さん: ムーブメントにするとしたら、自律された個性がいかに躍動できるプラットフォームにするか、それをどこまで広げられるかということですね。まだちょっと真面目さが強くて、例えば循環フェスぐらいの緩さというか。あそこまで行けると裾野もすごく広がると思いました。
大関さん: 本当にいろんな業種の人を巻き込んでいますよね。
岩崎さん: 良い意味で、細かいこと考えてないなぁと思います。どことどこは被ってるとか、あの領域があるから、この領域はやめとこうとか。なんかそういったことを良い意味で考えていなくて、なんかピンときた人全員声かけてるんじゃないかというぐらいの。それがムーブメントのポイントな気がします。量が質を凌駕してると思いますね。
― 確かに循環フェスは、広がっている先進的な事例ですよね。
岩崎さん: 乗っからせてもらうのもありだと思いますけどね。京創ミーティングがそこで何かを出店するとか、トークセッションを継続していくとか。何らか環境に興味のある人たちが多いと思うので、事務局側の発信の場みたいにして、そこで出張っていくみたいな。運営支援ではなく、京都市の取組のPRとしていくみたいなことがいいかもしれませんよね。
大関さん: 確かに最初のイメージで固定化されるともったいないので、どんどん切り替えていくのは大事だと思います。
― 貴重なお話を聞かせていただいてありがとうございました。
(インタビューは、2024年10月に実施しました。)
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