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Column2025.10.20
プロジェクト実証レポート
2025.10.20

〈インタビュー〉使用済衣服の回収&循環プロジェクト「RELEASE⇔CATCH」
プロジェクト実証レポート

ライフスタイル転換のための仕掛け=プロジェクト

 

脱炭素に貢献するけど、脱炭素だけではない。

プロジェクトを通じて、

楽しい、かっこいい、ワクワクする魅力的な「変化」が起こっています。

 

今回は、「使用済衣服の回収&循環プロジェクト」を始めた、株式会社ヒューマンフォーラム 取締役 岩崎 仁志さん(以下、岩崎さん)

に、プロジェクトに対するについてお話を伺いました。

 

「使用済衣服の回収&循環プロジェクト」の取組内容はこちら(https://doyoukyoto2050.city.kyoto.lg.jp/projects/release-catch/をご覧ください!

 

― 京創ミーティングに参加した動機をまずお伺いしてもよろしいでしょうか?

岩崎さん: 京都市の職員と斗々屋のイベントでたまたま出くわしたところからでしたかね。その時にすでに京都信用金庫と古着の回収をしようという話は出ていたんですよ。ただ、どうしていいかわからないなっていうところで止まっていたという感じでしたね。廣海緑朗さん(NPO法人みんなの地球のくらしかた 代表)にお声をおかけしていて、古着回収とイベントをやろうと思っているので手伝ってもらえますかと頼んでいましたが、そこで止まっていました。その時に京都市の職員とお話しをして、まさにやりたかった内容と京都市がやろうとしている脱炭素の取組がすごく合致してるなと思って、一回、僕の話を聞いてくださいってお願いしたのが最初だったと思いますね。

 

― 京創ミーティングに入る前の懸念や期待は何かありましたか?

岩崎さん: 懸念も期待もありませんでしたが、とりあえず参加してみようみたいな感じでした。

― どう進めていこうかと止まっていたというのは、具体的にどのような状況だったんですか?

岩崎さん: やっぱり、どんなメンバーでやればいいのか悩んでいました。立ち上げのメンバーを京都信用金庫と僕たちだけでいいのかとか。その時に京都市がメンバーに入った方がいいなというイメージも持っていましたね。イベントをやる場所も京都市役所前広場を少し想定していました。

― 廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の話だとか課題があり、行政が入ることで、そのあたりのやりにくさみたいなものはありましたか?

岩崎さん: なるようにしかならないと思っていたので、あんまりなかったですね。

(写真:循環フェスの様子)

― プロジェクトを実施する中での変化や社内やお客様の変化はありましたか?

岩崎さん: 学生とか社外の人の方が反応は良いですが、社内では、今のところは関心があまりありませんね。

― 確かに循環フェスには多くの方が参加され、関心のある人や若者が多いんだなと思いました。

岩崎さん:古くからいる社員はあまり興味ないんですけど、最近入ってきたアルバイトの子だと、知らない間に循環フェスのボランティアメンバーになっていたり、循環フェスのトークイベントの登壇のメンバーになったり、ファッションショーのメンバーになっていたりとかはありますね。なので、そういう若くて新しいアルバイトさんには、影響があるんだなと思います。

― 社員の方はあまり興味がないのはなぜでしょうか?

岩崎さん: 多分ね、本業を120%ぐらいで頑張っている中で、それ以外のところにエネルギーを注ぐ余地がなくて、それをやる時間があるなら本業を手伝ってくださいよという勢いがありますね。脱炭素とかへの興味は全然なくて、みんな古着が大好き!みたいな感じです。

(写真:岩崎さん)

― 循環フェス(https://junkan-fes.com/)はどういう意図で実施されているのでしょうか?

岩崎さん: 循環フェスはどちらかというと、たくさんの人を巻き込んでいく楽しいエンタメのようなもので、服以外のいろんな人たちも入ってこられるプラットフォームになったらいいなと。回収ボックスより循環フェスの方が、マネタイズが簡単というか、そっちの方が売れるというか。

― そうなんですね。回収ボックスでビジネススキームを作って、循環フェスはCSR活動的な感じでやっているものかと思っていました。循環フェスもビジネスとして成り立っているのですね。

岩崎さん: そうですね。循環フェスをうちのエリアでやりたいと言ってくれる人がいっぱい出てきていて、名古屋でもやりますね。

― 名古屋ではどのような立場で関わることになるのですか?

岩崎さん: そうですね。コンサルティング的な立場で関わることになります。また名古屋の事業者はもともと取引先だったので。

― 循環フェスがイベントのパッケージとして、商品になるのはすごいですね。何がそんなに人を巻き込むのでしょうか?

岩崎さん: 若者だと思います。京都のワコールもそうですが、学生などの若者が多く参加いただけるから、企業の皆さんも出店してくれていると思いますね。

(写真:循環フェスの様子)

― 参加者だけでなく、高校生などの若者の出店も多かったですね。

岩崎さん: 学生の出店は今までの中で一番多かったです。オープンにはしていなかったので、こちらからほぼ全部声掛けをしましたね。ただ、噂を聞きつけて問い合わせをしてきた人もいます。また、今回誘ったところもほとんどが「どこでもトーク」(https://www.city.kyoto.lg.jp/kankyo/page/0000340334.html)がきっかけとなって、大学の先生たちと知り合い、学生への声掛けに協力してもらいました。

― 「どこでもトーク」のようなワークショップは、その場で満足して終わってしまうというのが課題の一つだったので、その後のアクションにまでつながっていることはすごく大きいと感じます。

岩崎さん: 仕分けに来てくれるメンバーやボランティアに来てくれるメンバーも、「どこでもトーク」で出会った人たちばかりですよ。

― 「どこでもトーク」の情報によって認知され、すぐに循環フェスで体験・行動につながるという流れがとても良いと思います。3ヶ月後に循環フェスがありますと言われたら、ちょっとやってみようかな、となって、学生が行動を起こしやすいですよね。                                                   回収ボックスも循環フェスも色々な人と一緒にやっていくことが魅力の一つでもあると思うのですが、一方で、なかなか意見がまとまらずに難しい面もあるのではないでしょうか。それでも色々な人を巻き込んでいくことを大切にされている理由はありますか?

岩崎さん: 一社でできることは限りなく少ない、ということは思っています。また、ちゃんとやってみんなの意識が変わっていくことがやはり大事だな、と。マウントやシェアの取り合いではなく、お互いが勝っていくためのチャレンジをやっていきたいと思っています。

(写真:回収BOX設置の様子)

― 古着回収の取り組みも世の中に増えてきていますが、他の回収サービスとの共存はどのようにお考えですか?

岩崎さん:「地域」ということだけが僕が最初に思っていたことでした。他企業がやっているものも含めて、どこの回収ボックスも今までよりは入れやすくなりましたよね。ただ、入れたあとどうなっているかは、今までどおりわからない。でもRELEASE⇔CATCH(https://release-catch.com/) はここに入れたらここでもらえるということが、目に見えて体感できる。回収BOXに古着を入れる人って、結局求めているのは次使ってほしいと思っていることだと思うので、同じ回収ボックスでも自分の気持ちと一番合致しているものを選んでいただけたら嬉しいなと思います。

―  今後、プラットフォームとして広く開いて、新しい事業者にどんどん入ってきてもらえればと思っています。その時にどんな企業にお声掛けしたいと思いますか?

岩崎さん:これまで、一切脱炭素の取組をやってなかった人たちが参加した方がやっぱり面白さはありますよね。そもそも興味はないですけど、SDGsやESGの時代ですよねみたいなモチベーションの人たちは、結構面白いんじゃないかなと思ったりします。

― なるほど。環境配慮などをやらざるを得ないような真反対の事業者の方々ですね。

岩崎さん: でも共感もあった方が良いと思います(笑)。集まってくる人が「いつメン(いつものメンバー)」にならないよう、新陳代謝は必要かなと思います。あと、取組への共感もグラデーションがあっていいのでは。もし学生とかも入れるなら、学生も入ってきた方が良いと思いますね。

(写真:循環フェスの様子)

― 市民の関わり方と今後の可能性について、どんなイメージですか?

岩崎さん: 多分、市民が関わらないと、イノベーションというか変化ってきっと生まれないだろうなと思っているんですよね。市民が動くことがそもそもの変化だと思っていて、行政へ委ねる立場から、自らが主体的にやるようになることなんですよね。

― ゆくゆくは市民のライフスタイルを脱炭素化していくことが目的なので、確かにそこが一番重要ですね。

岩崎さん: 今度KUZUHA MALL(京阪グループの商業施設)でゼロ円マーケットをやるにあたって、KUZUHA MALLにいるお客さん向けにボランティアのチラシを貼る予定です。地域のマーケットに関わりたい人がいると思うんですよね。

― 確かに循環フェスでも、イベントに参加して、その次はボランティアとして参加する学生さんもいましたね。服をもらったから、そのお返しをしたい、とか。

岩崎さん: そうそう。楽しかったからとか。やっぱり服もそうですけど「楽しい」ももらっているんですよね。次はその楽しいを届けたいというモチベーションが潜在意識の中できっと出てくると思います。

― そういうあたたかい感情が循環しているのはいいですね。地域の中で回るようになっていく仕組みになっているのがいいなと思います。遠くからボランティアしに来るってなかなか難しいですけれど、KUZUHA MALLで募集したら、近くの人が来てくれますよね。いろんな地域に拡大していきそうですね。

岩崎さん: あと循環フェスが4回目だっていう学生がいて、その子が循環フェスに参画している株式会社ジェイ・エス・ビーに面談に行っていると言っていました。

― すごいですね。循環フェスをきっかけに、その循環フェスに協賛している会社に就職するっていう流れもあるかもしれないですね。企業にとっても、すごい良いリクルートになっていますね。

 

(インタビューは2024年10月に実施しました。)

Profile
株式会社ヒューマンフォーラム
アパレル・飲食

全国に「SPINNS」「mumokuteki」「USEDを拡張する進化型古着屋“森”」などアパレルやカフェなどを運営。この度、株式会社ヒューマンフォーラムが中心となり、京都市内を中心に、御家庭で不要になった衣服を回収する回収BOXを設置し、回収した衣服のうち再利用可能な衣服を販売することで、市内で循環させるプラットフォームを創出します。
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