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Column2026.01.06
プロジェクト実証レポート
2026.01.06

〈インタビュー〉環境配慮型農業の実践プロジェクト
プロジェクト実証レポート

ライフスタイル転換のための仕掛け=プロジェクト

脱炭素に貢献するけど、脱炭素だけではない。
プロジェクトを通じて、
楽しい、かっこいい、ワクワクする魅力的な「変化」が起こっています。

今回は、「環境配慮型農業の実践プロジェクト」を始めた、株式会社中嶋農園 代表 中嶋 直己さん(以下、中嶋さん)に、プロジェクトに対する想いについてお話を伺いました。

「環境配慮型農業の実践プロジェクト」の取組内容はこちら(https://doyoukyoto2050.city.kyoto.lg.jp/projects/agriculture/)をご覧ください!

— プロジェクトの背景や京創ミーティング参画の動機について

中嶋さん: 2010年に農業を始めたころは、一つの産業にすることが目的でした。その後、3~4年を経て、自分で生計を立てられるようになり、何でこんなにしんどくて儲からない「農業」をしているのかって思った時に、たぶんお金のためじゃないって思ったんですね。じゃあ何でかというと、農業を続けるためです。よく祖父が言っていたのは、「田んぼや畑はわしらのもんやと思ったことはない。わしは預かってその次の代に渡すだけや。」と。つまり農業が続いていくことが重要なんやと気づきました。それで、農業が続いていくためには、人、経営、そして自然環境が必要だと考えました。僕らは自然環境からの恵みとして成果物を得ているわけなので、少しでも農業を長く続けるために自然環境に配慮していかないといけないと思いました。あとは、気温の急激な上昇でお米や野菜が不作になったことなど、異常気象を実感し始めたこともあると思います。

 

— 京創ミーティング参画の動機・成果やプロジェクトで目指していたこと

中嶋さん:懸念していたことはほとんどありません。農業以外の分野の人々に環境という切り口で関われることを期待していましたし、結果は期待どおりでした。

 

— 中嶋さんには、推進チームメンバーとして、京創ミーティングのビジョン策定にも関わっていただきました。京創ミーティングのプロジェクトに取り組むことで、望んでいたことの達成度は

中嶋さん: 取組当初は望んでいたことも漠然としていました。ただプロジェクトを進める中で、人に話す機会が増えて、その都度考える機会も増えたので、循環型農業を目指そうということが明確に見えてくるようになりました。プロジェクトを進めるうえでは、NPO法人木野環境にご協力いただいています。田んぼの上で太陽光発電を行うソーラーシェアリング、バイオディーゼルの使用、バイオガストイレ、生ごみの堆肥化など、今ではだいぶ実践することができています。取り組んでいく中で、漠然としていたものが具体的になっていったという感じです。

(写真:中嶋農園)

 事務局の支援によりどんな変化があったか

中嶋さん: 市内の図書館にイベントのチラシを配架でき、親子づれなど、参加いただける方の増加につながりました。今年度は、リピーターも増えてきて、そこまで宣伝しなくても多くの方に来ていただけるようになりました。

 

— 京都市は2年間のプロジェクト実証支援が終えてから、実際に事業者さんには自走していってもらうことを目指していたので、そのような協力がつながった結果ですね

中嶋さん: そうですね。子供たちが集まる図書館にチラシを配架できたのはすごく大きかったと思います。

(写真:中嶋さん)


― 循環型農業についての市民の変化やそれを感じたきっかけは
中嶋さん:環境問題に対して意識している人たちが、うちに集まるようになってきました。また、 生活クラブ(京都エル・コープ)の家庭用コンポストクラブの皆さんが農園の一部を借りて、野菜を栽培するようになったり、わたしの田んぼプロジェクトのように農業体験の場として利用してもらえるようになったりしていますね。

—  飲食店から生ごみを集めて堆肥化されてますね

中嶋さん: そうですね。いくつかの飲食店から生ごみを集めて堆肥として活用しています。また液肥も活用しています。新たに専門的なスタッフが加わったことで、即効性のある液肥の使用を拡大しています。ちょうどこの前、私の祖父に、昔は伏見から祇園まで台車で下肥を回収しに行っていたと聞きました。当時は、回収することで日当がもらえて、またそれを畑の横に堀った穴に入れて発酵させることで、液肥として農業に利用していたそうです。

— まさに循環型社会ですね。その昔やっていたことを現代風に変えて、チャレンジされているのですね

中嶋さん: 昔は循環していたが、今は人口が多くなりすぎそのような取組ができないのかもしれません。今の日本でも下水処理ではなく液肥として活用できるような、バランスが取れる地域があるかもしれません。

(写真:農園で採れた野菜)

 

— 今後の事業展開について

中嶋さん:広がっていますね。特に液肥に関しては、使用する畑がすごく増えています。また最近では、きょうと生物多様性センターから、うちの環境配慮型農業が生物多様性保全の観点から評価いただきました。自分たちのやっている取組をセンターや専門家の方が客観的に評価してもらえたことは、すごく良かったと思っています。取組を進めていくうえでの自信にもなりますし、専門家が認めてくれているからということで、動くことができるようになりました。もし新規就農してくれる人がいれば、うちの地域では農業の中で生物多様性を意識していることを伝えていきたいと思っています。それで、この地域全体で、数年前に比べるとこの生き物が増えたよねとか、この鳥が帰ってきたよね、と言われる地域にしていきたいです。そうすると自分の地域が生き残っていける気がするんです。

— 脱炭素の取組をきっかけとして、今後は生物多様性の分野へも活動を広げていきたいとお考えになったのですね。

 

— 今後の京創プラットフォームに期待することは

中嶋さん: 私もいろんなプラットフォームに入っていますが、最初は盛り上がっても、時間が経つにつれて、人が少しずつ離れていくことが多いと思っています。なので、事務局や行政側がもう少し積極的に声掛けすることや、ある程度プラットフォーム自体を先導することが、事業者にとって関わり続けるための一つのきっかけになると思います。

— ありがとうございます。交流会などを通して、積極的にお声がけをしていこうと思います。

 

 

— 市民に伝えたいメッセージ

中嶋さん: 今後は、市民向けの提供を増やしたいと考えているので、うちの野菜やお米を支持してもらえるような繋がりを持てるようになりたいと思っています。例えば、体験で土日だけでもうちに農業をしに来てもらってもいいですし、そうやって地元の野菜やお米に興味を持ってもらって食べてもらいたい。そして、買う・食べるだけでない「市民のかかりつけ農家」のような存在になっていきたいと思っています。

(インタビューは2025年8月に実施しました。)

(写真:中嶋さん)

Profile
株式会社中嶋農園
農業法人

京都市伏見区向島で「超都市近郊農業」を営む1926年創業の農業生産法人。
「おいしい」よりも「ありがとう」が聞きたい。
「ありがとう」が聞きたいから、「ありがとう」と食べる人が思わず言いたくなるような、そんな作物を育てています。
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