「京都スロージャーニー」を開催しました!
令和5年3月1日(水)、2日(木)、3日(金)の3日間を通して、「環境負荷が低く、人とつながり、地域に貢献するとともに、自分自身のライフスタイルも変えていく旅」をコンセプトとしたスローツーリズムのモデルツアー【京都スロージャーニー】を開催しました。
3日間のそれぞれのテーマは下記の通りです。
- 3月1日(水)
「ものとこころのスロージャーニー」~ものや食材を活かしきる禅寺のあたりまえの日常~ - 3月2日(木)
「くらしのスロージャーニー」~京都で持続可能なくらしを気軽に始めるためのイロハ~ - 3月3日(金)
「つながりスロージャーニー」~コーヒー粕が生み出すもう一つの物語~
これらのツアーは従来の観光スタイルとは違い、「スローツーリズム」として4つの原則を設けています。
- 環境負荷が低い旅
- 人とつながる旅
- 地域に貢献する旅
- スローな文化で生きる旅
この原則に当てはまる観光を「スローツーリズム」と呼び、観光を通じて地域とつながり貢献し、自分自身のライフスタイルを考え、日常に戻った際に一人ひとりが脱炭素アクションを起こすきっかけとなることを目指しています。
また、観光する際にはなるべく環境負荷が低くなるように、例えば交通手段は自転車や歩きにするなど、旅の中で発生する二酸化炭素量を減らすように考えられています。
「つながるスロージャーニー」~コーヒー粕が生み出すもう一つの物語~
今回は3日間のモデルツアーの最終日に行われた「つながりスロージャーニー」の様子をご紹介します!
カフェ文化が広まる京都、本来であればコーヒーを抽出した後のコーヒー粕は捨てられてしまうものですが、それらを有効活用しようと、コーヒー粕回収の取組が行われています。
コーヒー粕回収に取り組むブルームさん(mame-eco)が案内人になり、京都のコーヒー文化の裏側で行われている「資源循環」を体験しました。
早朝からレンタサイクルで、京都の街を駆け巡る、そんな風に始まった3日目の朝。ブルームさんを先頭に、コーヒー粕回収の協力店を巡ります。
早朝のサイクリングは気持ちよく、日常の慌ただしさから離れて、木々や鳥など自然を五感で感じることができました。
「普段と少し活動時間が違うだけで、その時間に活動している人達と、情報交換し交流が生まれ、その時間でしか得られない体験ができたように感じられました。」参加者の方がそんな風におっしゃっていました。
普段のライフスタイルを見直して、朝少し早く行動することで、ちょっとした特別感が味わえるかも。そんなことを気付かされながら、どんどん自転車を漕ぎ進めます。
道中では、ブルームさんから穴場的スポットも紹介してもらい、「次はここに来よう!」という楽しみがどんどん増えて行きました。公園や神社に立ち寄った際には、木々の蕾が膨らんだ春の訪れが見られ、四季で移り変わる京都の景色を感じることができました。
また、所々で古い瓦が使われた瓦土塀を発見し、ここでも資源活用を考えることができました。
サイクリングを楽しみながらも、今回のメインであるコーヒー粕回収体験もしっかりと!
このツアーでは全部で6店舗ほど回り、ブルームさんの自転車に付けられた荷台が満タンになるくらいのコーヒー粕を回収できました。ブルームさんは店舗ごとに週2回の回収日を設け、1店舗1回の回収でおおよそバケツ1杯分のコーヒー粕が集まると教えてくれました。
このように回収されたコーヒー粕を使って農業を営む農家さんがいます。伏見区で農業を営む【RE:ARTH】さんでは、ヒラタケを育てるためにコーヒー粕を活用しているのです。
そんなヒラタケを食すべく、今回の旅の主催者であるSlowInnovation(株)本社へ向かいます。
こちらが、コーヒー粕で育てられたヒラタケです。
収穫体験はどこから採っていいものか、始めは恐る恐る、という感じでしたが、慣れてくると「どこから採っても大丈夫!」と安心して、みんなでわいわいと盛り上がりました!
収穫後の跡を見てみると、コーヒー粕の色が見えてきました。菌糸で覆われて真白に見えている根本は、実はコーヒー粕がぎっしり詰まってできているものです。
果たしてお味は、、、「めっちゃおいしい!」
コーヒー粕を回収して栽培された過程、みんなで楽しみながら収穫して調理する過程、それぞれを合せると、おいしさもさらに倍増されました!
ツアー最終日ということもあり、ヒラタケを食しながら、参加者同士のコミュニケーションも弾みました。
「ここで体験したことを実際に自分の生活に取り入れてみよう!」
「ただ単に消費するだけの観光でなく、五感で感じる体験を味わうことができ、街がたくさんの人の関わりによってできていることも感じることができた!」
「何度もまた味わいたい。次はもっと深く味わいたい。」
そんな風に、みなさんの感想が飛び交い、さらには「もっといいライフスタイルってどんなものだろう?」とお互いのアイディアを出し合う場にまで発展しました。
1日ごとの体験だけでも、普段とは少し違う観光を楽しめたと思います。さらに3日間通して参加された方にとっては、体験を重ねるごとに深まりがあり、体験での気付きを自分事として落とし込むことができたのではないでしょうか。
今後も地域の深い魅力を味わうことができる「スローツーリズム」が広がり、観光やライフスタイルの在り方を考えるきっかけになればいいなと思います!
今後のツアー実施詳細日程についてはSlowInnovation(株) ホームページからご案内します。
地域イノベーションのプロデュース・コンサルティング等
自治体の市民協働・企業協創・政策形成とつなげることで、各地域に生きた「市民協働イノベーションエコシステム」を構築することで、「地域から日本を変える」ことを目指して2019年に創設。「人と人との関係性を大切にした新しい社会の形」を地域のステークホルダーとともに「ゆっくりと」進めています。 Slow Innovation株式会社の記事一覧へ >
妙心寺塔頭 養徳院 副住職
龍谷大学社会学部コミュニティマネジメント学科でジャーナリズムを専攻。卒業後大本山建仁寺の専門道場にて2年3か月の修行ののち養徳院の副住職となる。精進料理や様々な催しを通じて禅を伝える取り組みを行う。花園中学高等学校の宗教科非常勤講師。若い方々が心を養い自分の考えを発言できる世の中を願い日々活動する。 横江 一徳の記事一覧へ >