KYOTOVEGAN COLUMNとは
京都のプラントベースの食や体験にまつわるお話を中心に、レストラン情報やさまざまな取り組み、商品・サービスなどをご紹介。
本コンテンツでは、2050京創プラットフォームに紐づくプロジェクト「菜食対応のメニューを提供する店舗の見える化」のプロジェクトオーナーである『KYOTOVEGAN』のウェブサイトに掲載されているコラムから、選りすぐりの内容をお届けします。
※本記事は過去に公開されたコラムをもとに再編集しています。表現や状況に時差がある場合がありますが、ご了承ください。

「スーパーはゴミがいっぱい出ますね」
京都・一乗寺を中心にオーガニックスーパーを展開するHELPを訪ねたとき、田中さんがまず話してくださったのは、あるトークセッションでかけられたこの一言でした。その言葉が、ずっと頭から離れなかったと言います。
HELPの店内には、有機野菜やこだわって選ばれた食品、自社農場で育てたお米が並び、精肉や鮮魚、惣菜も販売されています。
食べるものの安全性や、その食べ物がどこで、どのようにつくられてきたのかを大切にしてきたHELPだからこそ、その商品を「何で包むのか」ということも、以前から気になっていたそうです。
特に大きな課題が、精肉や鮮魚に使われるプラスチックトレーです。
HELPの3店舗で使われているトレーは、年間およそ20万枚。
年間20万枚という数字を聞くと、私たちの便利な買い物が、それだけ多くの使い捨て容器によって支えられていることに驚かされます。
その多くは、商品を店から家まで運ぶという役割を終えれば、捨てられてしまいます。
しかし実際は、「完全にプラスチックフリーにすることは、今のスーパーの現場では難しい」、と田中さんは言います。
肉や魚を安全に販売するには衛生管理が欠かせません。汁漏れを防ぎ、鮮度を保ち、陳列したときに商品がきれいに見えることも重要です。さらに、多くの商品を扱うスーパーでは、包装に時間や手間がかかれば、人件費や現場のオペレーションにも影響します。
環境負担を減らしたい気持ちはあっても、現場のやるべきことを考えると、簡単に容器を変えられるわけではありません。
それでも、「難しいから仕方がない」で終わらせず、できる方法を探してみたい。
そして、まだ多くの店が取り組んでいないからこそHELPで試してみる価値があるのではないか、と田中さんは考えています。
田中さんは、「HELPには、人や地球の健康に関心を持ち、私たちの考え方に共感して通ってくださるお客様が多いと感じています」と言われており、そうしたお客様との関係があるからこそHELPは新しい買い物の仕組みに挑戦し、その可能性を検証できるスーパーなのかもしれません。
レジ袋が有料になったり、マイバッグを持つことが一般的になったりしたように、買い物の「習慣」や「当たり前」が変わるには時間がかかります。
だから、まず試してみる。
うまくいけば次につながるし、うまくいかなかったとしても、なぜ難しかったのかという結果が残ります。
そこにHELPが挑戦する意味がある、と言われていました。
買い物の「当たり前」を見直してみる
田中さんへの取材の際、「近々、こうしたことを考える勉強会があるので、一緒に来てみませんか」と声をかけていただきました。それは、京都市の地球温暖化対策の一環として、脱炭素に向けて行動する事業者を、専門的な知見や実践経験を持つ方々が支援する場でした。
今回、実際に行動する事業者として参加していたのがHELP(株式会社ヘルプ)です。
ミーティングに参加されたのは、京都で量り売りやリユースの実践を続けてきた会社、またアドバイザーとして環境負荷の分析やエコライフの普及に取り組む ひのでやエコライフ研究所です。そして京創プラットフォームの事務局や京都市の環境分野を担当する方々も参加していました。
HELPの「使い捨てプラスチックを減らしたい」という思いを中心に、それぞれが経験や知識を持ち寄り、現実的に何ができるのかを一緒に考えていきます。
「年間20万枚のトレーを減らしたい。でも、スーパーとして現実的にどうすればいいのか」
田中さんのゴミを減らしたいという思いを実現するために、さまざまな可能性が検討されました。
「リユース容器にできないか」
「別の素材に置き換えられないか」
「回収はどうするのか」
「洗浄は誰が担うのか」
「デポジット制にしたらどうか」(実際に、デポジットカップを運用されています(写真)
そして、LCA(ライフサイクルアセスメント)の視点で考えたとき、本当に環境負荷は下がるのか。
話を聞きながら、私自身も、それまでとは少し違う角度からスーパーのトレーを見るようになりました。それは専門家のアドバイス、「買い物の当たり前を変えていかなければならない」という話でした。
私たちはスーパーで500円のお肉を買えば、「500円のお肉を買った」と思います。でも、その500円の中には肉そのものだけでなく、トレーやラップ、ラベルなど、包装にかかる費用も当然含まれています。
プラスチックトレーを、無料でついているように感じていますが、家に帰って捨てるものにもお金を払っています。しかし普段、そのことをほとんど意識していません。
田中さんによれば、トレーをはじめとする包装資材の仕入れ価格も上がり続けているそうです。使い捨て容器を購入し、その費用を商品価格に含め、消費者は中身と一緒に容器を買い、最後には捨てる。
それが、今の買い物の「当たり前」です。
では、一度使って捨てるトレーに毎回コストをかける代わりに、何度も使える容器を循環させる仕組みができたらどうでしょう。私自身もそうですが、日々の買い物では、同じ商品なら10円でも安く買えたらうれしいものです。
だからこそ、「環境のためだから負担してください」ではなく、消費者にとっても納得できる仕組みにすることが大切である、というのが皆さんの意見でした。
使い捨てのトレー代も商品価格の一部であることを知った上で、容器を繰り返し使う方法と、これまで通り使い捨てる方法。その違いを見える形にできれば、買い物をする側の選択も変わっていくかもしれません。
プラスチックを別の素材に置き換えるだけではなく、そもそも「中身と一緒に容器を買い、使い終われば捨てる」という現在の買い物の仕組みそのものを見直せないだろうか。
議論は、単なる素材選びを超えて、買い物のあり方そのものへと広がっていきました。
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コラムの続きはKYOTOVEGANのウェブサイトから。
使って捨てることを前提にしてきた、日々の買い物の「当たり前」。オーガニックスーパーHELPの挑戦から見えてくる、容器を繰り返し使い、地域の中で循環させていく新しい買い物のかたちについて、KYOTOVEGANで詳しく紹介しています。ぜひ本編をご覧ください。
インタビュー:玉木 千佐代
ヴィーガンコンテンツの開発導入支援、店舗紹介
数ある選択肢からヴィーガンを選ぶことも認め合えて、
ライフスタイルの多様性が肯定される世界を京都から実現することを目指し、
ヴィーガンを通してどんな人も肯定される社会を考え、創り続けることで
世界で最も寛容な“京都発のヴィーガンカルチャー”を育てます。 合同会社KYOTOVEGANの記事一覧へ >


