Concept
2050 MAGAZINEについて
Interview 読む + 聴く
Column
深める
News
知る
Projects
参加する
Platform
広げる
People & Places
出会う
Vision Information
取り組む
プロジェクト実証レポート
Column2026.03.02
<インタビュー>公園を活用したサーキュラーエコノミープロジェクト
2026.03.02
プロジェクト実証レポート

ライフスタイル転換のための仕掛け=プロジェクト

脱炭素に貢献するけど、脱炭素だけではない。
プロジェクトを通じて、
楽しい、かっこいい、ワクワクする魅力的な「変化」が起こっています。

今回は、「公園を活用したサーキュラーエコノミープロジェクト」を始めた、合同会社洛北社中 十塚 悠 さん(以下、十塚さん)、京都市都市経営戦略室 葉山 和則さん(以下、葉山さん)に、プロジェクトに対する想いについてお話を伺いました。

「公園を活用したサーキュラーエコノミープロジェクト」の取組内容はこちら(https://doyoukyoto2050.city.kyoto.lg.jp/projects/park_circulareconomy/)をご覧ください!

京創ミーティングのプロジェクトに取り組んだきっかけ

十塚さん: 2021年から大宮交通公園の管理をやっていた時に、公園の土中環境の環境再生をお手伝いさせてもらっていたことがあり、それがきっかけとなって環境問題や環境に関することに興味を持ちました。京創ミーティングに入ったきっかけは知人からの紹介でした。
懸念点は、当時かなり多くの京創ミーティングのプロジェクトに関わっており、やっていけるかが心配でしたね。一方で、京創ミーティングには、京都市で環境分野だけでない先進的な取組をされている人たちがメンバーに入っていたので、その人たちと新しく出会えたり、フラットな関係で話せたりする機会があるだろうなと期待していました。

葉山さん: ちょうど2年半前に都市経営戦略室に来ましたが、その直前に公園利活用の担当をしていました。その時にサーキュラーエコノミー研究家の安居さんから、街路樹や公園の樹木など「街の木」を、育成・管理・活用まで一体で循環させる「都市林業」という取組が京都にすごくいいと思うというお話がありました。それで、異動後もブレストを続けて、都市林業自体が脱炭素にもつながる領域横断的な分野であるという話の流れから、京創ミーティングの枠組みの中で何かできないかという話になっていったと思います。

(写真:葉山さん)

 

 

京創ミーティングのプロジェクトで望んでいたことやその達成度について

十塚さん: 始めはしっかりメンバーを組んでプロジェクトを進めていくようなイメージでしたが、現在はプロジェクトに関わる入り口が楽な気持ちで入れるようになっていて、集まった人がそれぞれの気付きの共有や、やりたいこと、遊び、相談、モノづくりに取り組んでいる形になっています。結果的に持続可能なプロジェクトのあり方として、関わるみんながちょっとずつやりたいことを持ち寄ってやっているのは、すごくいいと思います。ただその分やっぱりプロジェクトとしての進行はスローになってしまいますし、2年間でしっかりした結果があり、経営面・事業面で成り立っているというところまで今はなっていないと思います。その代わり、長い目で見て多くの様々なステークホルダーの方がゆるやかに関わってくれている状況に変化してきています。

 

(写真:落ち葉堆肥活用の様子)

 

— ビジネスになりにくい分野だとは思いますが、その中でも楽しく関わり続けるコミュニティのようなものができたことが成果ではないかと感じました。葉山さんはどうですか。

葉山さん: 最初からゴールを描いて、それに向けて、計画的にやっていくっていうことが、今までの基本行政スタイルだと思っていますが、このプロジェクトでは自分たちも探索しながら、変わりながら、より良い型を模索していくような取組なのかなと思っています。その方が、植物のようにあるべき姿に辿り着くのではないかと。またプロジェクトを通して、伐採木などを循環させることだけでなく、それを超えて、地域内にあるものを活かして価値あるものを未来に残していくという 100年単位での街のカルチャーをどう作っていくのか、あるいは現在は消費する側・される側に固定されがちな人間と自然の距離感を考え直すことをやってきました。また脱炭素の取組をやったとしても、地球温暖化という問題に対して、自分が何かできるのかという感覚になかなか至らないと思います。こう考えたときに、この都市林業がその認識を変える出発点になると確信しているので、やりながらその方向性に向かっているという感覚はあります。
また現在京都基本構想(2050年までのグランドビジョン)においても、京都市にとっての3つの根底の価値観の一つには、「自然への畏敬と感謝の念を抱ける」ことが挙げられています。今回のプロジェクトは実際に自然の恵みをいただくこと、自然は人間の思い通りにできる対象ではない、ということを体感できるので、それに通じるような動きになっていると思っています。

(写真:剪定枝の活用の様子)

 

 

事務局の支援により感じた変化は?

十塚さん: 京創ミーティングのプロジェクトを通して、事務局と関わることで、京都市のみどり政策推進室の管理下にある宝が池公園のストックヤードを活動の場として使うことができていることや、他部署の行政の方々と間接的にやり取りができていることが良い変化ですね。プロジェクトを通して、普段は縦割りでつながることの少ない京都市の様々な部署の方をつなぐ役割として仕事をやらせてもらえたことが一番のやりがいにもなっていました。

 

 

事業者との連携は?

葉山さん: 京都の芸術系の大学やクリエイター・アーティストの方と連携して公園の伐採木を活用したり、企業のオフィスのリノベーションのマテリアルとして使っていただきました。また、アミタHDが発起参画する「循環」と「共生」をコンセプトにした一般社団法人エコシステム社会機構(ESA)というプラットフォームで、都市林業についてプレゼンテーションする機会をいただいたり、その他まちづくり活動団体・地域住民・学生たちなど、多様な人々が面白がって、このプロジェクトに関わってくれたりしています。

— 関わってくれる人たちの動機は何でしょうか。

葉山さん: 本来は価値がないとされているものに価値を見出して、それを活かしていくプロセスに対して、いろんな人が関わっていくことに価値があるんだと思います。そこには単なるプロダクトやそれにかけたエネルギーだけではなく、そこには学びやウェルビーイングがあるという感覚ですね。このような数値的ではなく、身体の知覚のようなところでこれは価値があるのではないかと感じてもらえているからこそ、現在はDiscordというオンラインのコミュニケーションツールに約150人の人たちが関わっていただけたのだと思います。また活動はだいたい月1で行われています。

(写真:デジタルファブリケーションを活用して複数の樹種で制作したテーブル)

 

 

プロジェクトで生まれた月1の活動について

—  オンラインのコミュニティについては、誰かが動かさないとなかなか動かないと思いますが、それは葉山さんや十塚さんが管理を行っているのでしょうか。

十塚さん: 僕より葉山さんが動いてくださっているのと、同時に率先的に関わってくれている市民の方が自発的に発信してくれていますね。

— 月1の活動は具体的にどのようなことをされているのでしょうか。

葉山さん: 一言で言うのは難しいですが、だいたい1回の集まりで10~30人が来て、参加も強制的なものではなく、活動のテーマも参加者から出てきたものその場でやるような形です。ブリコラージュ(手元にあるあり合わせの道具や材料を寄せ集め、試行錯誤しながら新しいモノを創造する行為)やプロでなく素人感覚を大切にして、失敗も許容するような空気感を大切にしています。またその場で作った薪で焚火をすることも人気ですね。


(写真:十塚さん)

 

 

プロジェクトの今後の展望について

十塚さん: 僕としては、今持っている森自体や林業の課題に対して、新しい視点やカタチを生み出すことに挑戦したいと思っています。プロジェクトの事業として成功するかどうかよりも、ここの場所だから生み出せた価値みたいなものを生み出したいという気持ちが一番ですね。それをどうやってくかを考えていきたいと思っています。

葉山さん: このプロジェクトは短期で無理にでも事業化することはできたと思いますが、僕としては少なくとも10年ぐらいかけて長期目線でやる価値があると思っています。なので、やりたいことはビジネスモデルをつくることではなく、本質的に人間の営みのあり方を変えていくこと、そして文化を創っていくことだと思います。事業化してもすぐ潰れたら終わりなので、それを急ぐのではなく、何か飛んで来たらそれが育つような良い土を創る活動になればいいですね。

(写真:活動の様子)

 

 

どのような企業に京創プラットフォームを勧めたいか

十塚さん: 例えばですが、環境とか自然とかと全然関係ないエンタメ・IT業界の企業さんですかね。そのような業界の人が環境や自然に関心を持ってもらえるのがいいと思っていて、そうすると都市林業のようなプロジェクトがもっと面白く発展しそうな気がするので、そういう中間コミュニティとして京創プラットフォームがあったらいいなと思いますね。

 

 

今後事務局に期待することは

十塚さん: 一本釣りでもいいので、プラットフォームに連れてきたい人と一緒にできたらいいと思います。例えば、京都の大企業が自社で森をつくったり、環境活動をやっていたりしていると思いますが、それが京都の市民の暮らしと紐づくような取組をするとかはできると思うので、そのようなアプローチを事務局の皆さんと一本釣りできたらいいと思います。

葉山さん: 京創プラットフォームの中には多くのプロジェクトがあると思いますが、事務局が働きかけて、プロジェクト同士の横断や越境を起こすと様々な化学反応が起こるのではないかと思っています。また行政側も多くのプラットフォームや集まりがあるので、事務局側も越境していくと色んな繋がりが生まれるかもしれませんね。

(写真:手作りの椅子とテーブル)

十塚さん: 京都の魅力を使うっていう意味では、海外も含めて外から来る人にとって、京都がやっていることはある程度関心を持ってもらえると思うんですね。そういうことをプラットフォーム内で、観光も含めたことから、京都の街づくりや環境づくりにもっと関わりたいという人をつなげるような存在になっていただけるといいと思います。

— ありがとうございます。事務局側の働きかけや越境、また公式HPでのプロジェクトの紹介などの見える化もやっていきたいと思いました。また京都ならではの魅力を活かすために、今ある観光に関連するプロジェクトも都市林業のフィールドとも連携しながら、プロジェクト間の広がりをつくっていきたいと思います。

(インタビューは2025年9月に実施しました。)

(写真:焚火の様子)

 

Pickup
おすすめ記事

Back to Top